多くの若手ビジネスパーソンが思い悩む問題の種といえば
“コミュニケーション”
であることは疑う余地もないでしょう。
先輩に疎まれ、上司に怒られる多くの原因は、このコミュニケーションスキルの不足が原因だと思います。
本記事では、そのコミュニケーションという“イマイチ、ピンとこない能力”を紐解き、解像度を上げることで、対策を練っていこうという記事です。
※注釈
本記事では、コミュニケーション能力と、コミュニケーションスキルを明確に区別して考えておりません。賛否あるかと思いますが、ご指摘はお問合せから頂けますと幸いです。
エンパシーとは
ビジネスシーンにおけるエンパシーとは、相手の立場や感情に共感し、理解することを意味します。
つまり、自分自身が相手の立場に立って考え、相手がどのような感情を抱いているかを察知することができる能力です。
エンパシーを持つことは、ビジネスにおいて非常に重要です(個人差が顕著に出やすい)。
なぜなら、顧客や社内メンバーとの関係を築く上で、相手の気持ちやニーズを理解することが必要だからです。
また、エンパシーを持ったコミュニケーションは、コンフリクトの解決やチームビルディングにも役立ちます。
つまり、ビジネスシーンにおいて、エンパシーのスキルが高いということは高度なコミュニケーションが図れると言えるでしょう。
ビジネスにおけるエンパシーの具体的な例としては、顧客の要望や苦情に真摯に向き合い、共感し、解決策を提供することが挙げられます。また、従業員の意見やフィードバックを真剣に聞き、改善点を取り入れることもエンパシーを発揮することにつながります。
コンクリフトとは
ビジネスシーンにおけるコンフリクトとは、自分と相手との間に、意見や価値観の相違、目標の違い、権限の衝突、リソースの分配についての問題などが生じ、双方が折り合いをつけることができず、対立状態に陥ることを指します。
コンフリクトは、ビジネスシーンにおいて珍しいことではありません。
顧客とのトラブルはつきものですし、また、組織内での意見の対立や、役割、責任の折り合いなどと、様々な状況でで発生します。
コンフリクトは、適切に対処しなければ、顧客との取り引きや信頼関係を損なう可能性があり、またメンバー間でのチームワークに亀裂が入るなどのリスクが発生したりします。
例えば、双方が不満を抱えたまま取り引きや業務を進めると、クレームや訴訟問題の発生などが起こり、または、チームワークの悪化、生産性の低下、を招く原因となりあす。
したがって、ビジネスシーンにおいては、コンフリクトを適切に解決するためのスキルや方法が求められます。
例えば、相手の気持ちや立場を理解するエンパシーが必須となり、対話や妥協の場を設ける調整力、仲裁や調停などの解決方法を知ることが重要です。
チームビルディングとは
チームビルディングとは、チーム内のメンバーがお互いに信頼し合い、共通の目標に向かって協力して取り組めるよう活動すること指します。
細かい説明は不要かもしれません。
営業職に就いた方であれば、学生時代に、クラスやサークルなどのコミュニティで、何かを協力してやった経験が必ずあると思いますし、そういったエピソードを思い浮かべることは容易でしょう。
体育祭や文化祭といったイベントでは、チームビルディングの重要性が思い浮かびます。
チームメンバーがそれぞれの役割を明確に理解することで、効率的かつ円滑な業務遂行が可能になるよう、役割分担を明確化すること。
チームメンバーが共通の目標を設定し、その達成に向けた計画を策定すること。
そして、メンバー同士が協力し、目標達成に向け、足並みを揃えてアクションを起こすこと。
こういった一連のチームでの活動には、頻繁なコミュニケーションが必要とされ、具体的にはエンパシーが高い程、チーム内でのコミュニケーションが円滑になります。
※注釈
ビジネスシーンにおいて、エンパシーとシンパシーは似ているようで異なる概念です。
エンパシーとシンパシーの両方が重要ですが、
相手の気持ちを理解することが目的であればエンパシー
自分自身も感情を共有することが目的であればシンパシーが重要となります。
エンパシーを高めるメリット
エンパシーは、これまでの教育、育ちの環境、または先天的なポテンシャル(感受性)によって個人差が現れます。
しかし、訓練をすることで、そのスキルを伸ばすことも可能です。
以下では、エンパシーを高めるメリットを解説していきます。
信頼関係の構築
エンパシーを持つことで、相手の気持ちや立場を理解し、共感することができます。
相手には、「自分のことを真摯に考えてくれているんだ」という安心感を与え、好意的な印象を持ってもらえます。
これにより、相手との信頼関係を構築することができます。
ビジネスシーンだけに限らず、人付き合いのなかで、信頼関係を構築することはともて重要な要素となります。
コミュニケーション能力の向上
エンパシーは、個人差が顕著に出やすいスキルと言えます。
したがって、エンパシースキルの高い人はコミュニケーション力が高いと判断され、逆はコミュニケーションが取りづらい人としてストレスを与えてしまいます。
コミュニケーションには、聴く、話す、読み書き、ノンバーバルとその他の要素を含みますが、エンパシーに関しては、コミュニケーションを説明する上で、最も影響力の強い要素だと言えます。
エンパシーを持ったコミュニケーションは、相手との間に壁を作らず、対話を進めることができます。
また、相手の気持ちを察知することで、適切な表現や伝え方を選ぶことができるようになり、聴く、話す、ノンバーバルにも影響を及ぼすことから、コミュニケーション能力を高めることができます。
問題解決能力の向上
相手の気持ちを理解し、共感することで、問題解決のアイデアを生み出すことができます。
また、相手との共通点や相違点を把握することで、より効果的な解決策を見つけることができます。
コンクリフトの解決は、その後の人付き合いに直接的に影響を及ぼします。
単純に、その人を好きになるのか?嫌いになるのか?の大きなポイントと言えるでしょう。
キャリアアップのチャンス
エンパシーを持つことで、上司や同僚から信頼され、評価されることに繋がります。
仕事ができるヤツとして見られることは大切ですが、それ以上に、「付き合いやすいヤツ」という印象を持ってもらえると、社内での人間関係が非常に円滑になります。
まして、若手や新人の頃は、仕事で成果を出すことが難しい時期です。
まずは、社内での人間関係の構築のため、エンパシースキルの向上を目指すと良いでしょう。
また、エンパシーを持ったコミュニケーションにより、ビジネスパートナーや顧客から好印象を持たれ、個人の成績は必ずアップします。必ず、です。
すなわち、キャリアアップのチャンスを得ることができます。
チームビルディングの強化
前述の通り、エンパシーを持つことで、チーム内のコミュニケーションを改善し、信頼関係を築くことができます。
これにより、チームのモチベーションや生産性が向上し、より強固なチームビルディングが実現します。
上司は部下に対して寄り添うことができるようになり
部下は同僚や上司を頼り、高いパフォーマンスを発揮することに繋がります。
パフォーマンスが上がれば、自然と生産性も上がり、良い循環が生み出されます。
エンパシーが高すぎると懸念されるデメリット
エンパシーを持ったコミュニケーションは、時にマイナスに作用することもあります。
例えば、相手の気持ちを理解することに焦点が置かれることから、情報の偏りが生じることがあります。
つまり、相手の気持ちに過度に注目するため、自分自身が感情的になってしまい、問題や課題の本質を見落としてしまうことがあるのです。
または、そもそも論として、相手の気持ちを理解するためにはそれ相応の時間がかかります。
特に、多くの相手とコミュニケーションを取る場合は、時間的な負担が増します。
それ以外では、ビジネスシーンでは時として、相手の要求に応えられない場合も起こり得ます。
しかし、高いエンパシーが仇となり、相手に対して「NO」と言えなくなることがあるのです。
これは、ビジネスシーンで必要な判断力やリーダーシップを欠くことにつながります。
こういったデメリットもあることを踏まえ、うまくエンパシースキルを高めることがオススメです。
エンパシーが高い人の特徴
エンパシーが高い人とは、具体的にどういった人達のことを指すのでしょうか。
以下の特徴を参考に、自分自身にも当てはまる部分があるのか、確かめてみてください。
相手の視点を理解する能力
エンパシーの高い人は、相手の状況や立場を理解できるよう努めますので、その人がどのように感じるかを考慮に入れます。
例えば、同僚が仕事でストレスを感じているときは、声をかけコミュニケーションをとり、その理由を尋ね、その人の立場に立って考えることができます。
建設的で具体的なアドバイスを行うことにも繋がり、信頼関係の構築がとても円滑になります。
よく聴く能力
エンパシーの高い人は、相手の話に注意深く耳を傾けます。
ビジネスシーンだけに限らず、プライベートでも、その傾聴力は、とても重要なスキルと言えます。
相手が何を言おうとしているかを理解し、相手の言葉や表情から情報を読み取ることができます。
また、質問を投げかけて、相手の意図や気持ちを明確にすることができます。
感情を共有する能力
エンパシーの高い人は、相手と感情を共有し、共感することができます。
例えば、同僚が仕事で失敗したときは、その人がどのように感じているかを理解し、共感することで、その人の気持ちを理解し、フォローアップすることができます。
人の気持ちが分かる、とは、共感することを指します。
逆に人の気持ちが分からない人は多くの場合、嫌われます。
柔軟性
エンパシーの高い人は、状況や相手のニーズに応じて、適切なアプローチを取ることができます。
例えば、あるプロジェクトで上司からの指示が変更された場合、エンパシーの高い人は、チームメンバーたちと相談し、新しい指示に合わせて作戦を変更することができます。
また、相手の意見を受け入れることができ、協調的に対応することができます。
例えば、同僚と意見が食い違ったときには、相手の意見を聞き入れ、両者が双方向に理解できる解決策を探すことができます
社内やチーム内に限らず、顧客とのトラブルにも適切なアプローチが取れることで、早期の解決にリーチすることが可能になります。
エンパシーが低いデメリット
エンパシーが低いことは、人付き合い、コミュニケーションにおいて重大な損害を発生させます。
詳しく解説する必要もないくらい多くの方が感じることでしょう。
以下、エンパシーが低いことのデメリットをいくつかまとめてみます。
・コミュニケーション障害
・問題解決の遅れ
・リーダーシップの欠如
・コンフリクトの増加
・情報収集の不足
いずれも深刻な問題です。
エンパシーが低いと、そもそもで多くの人付き合いに支障をきたし、コミュニケーションに障害が発生します。
つまり、信頼関係を構築することができませんので、何か問題が起きた際には、その問題を解決することができません。
また、そういったコンクリフト自体が増加してしまう原因を、次々と作り出してしまいます。
相手の立場や気持ちを理解せず、誤解やトラブルが生じてしまうからです。
そういった方が昇進したりリーダーになることは少ないかもしれませんが、不幸にも、年功序列的にリーダー的ポジションに就いてしまった際には、部下や同僚の気持ちを理解せず、適切な指示やアドバイスを与えることができません。
そして、根本的にコミュニケーションに障害が発生していますので、相手からの情報収集が不足し、重要な情報を見落とす可能性があります。
そのため、ビジネス上での判断ミスや、失敗が生じる可能性が高まります。
以上のことから、エンパシーが低いことは、ビジネスシーンでは重大な欠点となります。
上記に心当たりがある場合は、エンパシーを高める努力を始めるべきです。
エンパシーを高める方法
前述の通り、エンパシーが低いことは、ビジネスシーンにおいてばかりか、プライベートでも致命的な欠点となります。
以下の項目を参考に、エンパシーを高める取り組みを心がけていただくと良いでしょう。
相手の視点を理解する練習をする
まずは、自分が普段持っていない視点や立場から物事を考える練習をすることが大切です。
最初のうちは、慣れないことへ触れることが多々あり、強くストレスや疲労を感じることもあると思いますが、それが良い反応の一つと言えます。
自分が関係する場面では、常に相手の立場に立って物事を見るように心がけましょう。
心がけることが大切です。
はじめたての頃は、具体的に何かのアクションを起こす必要はありません。
相手を知り、相手の考えを理解できるよう、ご自身で考え抜いてみてください。
アクティブリスニングの練習をする
アクティブリスニングとは、相手の話を注意深く聞き、相手が何を伝えたいのかを理解するスキルです。
アクティブリスニングの練習をするためには、相手が話をしているときに目を見て話を聞き、相手が話したことを自分の言葉でまとめて、都度言い返し、確認することが大切です。
もちろん、相手が丁寧に話をしてくれるとも限りません。
行間を読むために、限られた情報の中から推測する必要もあるでしょう。
相手の話に意識を傾け、しっかりと聴くことで、その行間や、相手の気持ち、考えが分かるようになってきます。
相手の感情を理解する練習をする
相手の感情を理解することがエンパシーの重要な要素です。
アクティブリスニングが上手にできるようになってくると、相手がどのような気持ちでいるのかが分かるようになってきます。
何度も繰り返し、相手の気持ちを想像する練習をすることが大切です。
また、相手の表情や言葉遣いから感情を読み取るトレーニングも有効です。
感情の起伏が無く、ポーカーフェイスで淡々と話す人もいますが、そういった際には、こちらから積極的に質問を投げかけると良いでしょう。
コミュニケーションスキルを磨く
エンパシー以外のスキルを伸ばすことで、エンパシー自体のスキル向上にも繋がります。
何度もご説明した通り、聴く力などは特に重要なスキルとなります。
それ以外でも話すスキル、ノンバーバルコミュニケーションなども非常に密接に関係しており、それぞれを独立したスキルと捉えるよりも、複合的なスキルと捉えると良いでしょう。
ロールプレイングをする
具体的な方法としては、日々のロールプレイグが有効です。
ロールプレイングをすることで、相手の視点を理解するための練習を数多く経験することができます。
例えば、ある状況で、自分が上司で相手が部下だとしたら、どのようなアプローチをとるべきか考えることができます。
それ以外のシチュエーションも、しっかりと設定を練ることで、多くの練習が積めます。
それは着実に上達へと繋がります。
エンパシー編は以上となります。
本記事の内容を日々の業務に取り入れ、少しでもコミュニケーションスキルを向上させるための材料にしていただければ幸いです。