多くの若手ビジネスパーソンが思い悩む問題の種といえば
“コミュニケーション”
であることは疑う余地もないでしょう。
先輩に疎まれ、上司に怒られる多くの原因は、このコミュニケーションスキルの不足が原因だと思います。
本記事では、そのコミュニケーションという“イマイチ、ピンとこない能力”を紐解き、解像度を上げることで、対策を練っていこうという記事です。
※注釈
本記事では、コミュニケーション能力と、コミュニケーションスキルを明確に区別して考えておりません。賛否あるかと思いますが、ご指摘はお問合せから頂けますと幸いです。
ノンバーバルコミュニケーションとは
言葉以外の手段を使って情報を伝達することを指します。
コミュニケーションスキルを語るうえで、最も重要で、最も影響力の高いスキルです。
具体的には、表情、ジェスチャー、姿勢、視線、声のトーンや速度、身体的な接触などが含まれます。
ノンバーバルコミュニケーションは、言葉よりも重要な役割を果たすケースが多々あります。
言葉によるコミュニケーションに比べて、より直接的で強力な影響を持つことがあります。
ノンバーバルコミュニケーションは、ビジネス以外でも、教育、政治、医療など、様々な分野で重要な役割を果たしています。
実際、人が相手の表情やジェスチャーなどを見て、その人の感情や意図を推測することは日常的に行われています。
つまり、どんな内容の話なのか?
よりも
誰がどうやって話をしているのか?
の方が、相手に与える影響が大きいということを意味しています。
※ただし、ノンバーバルコミュニケーションは、文化や個人差によって解釈が異なる場合があります。そのため、相手の文化や背景を理解することが重要です。
メラビアンの法則とは
ノンバーバルコミュニケーションを説明するうえで、知っておきたいのが
“メラビアンの法則”
です。
メラビアンの法則とは、人間のコミュニケーションにおいて、言葉の意味が伝わる割合を以下のように示した法則です。
● 「非言語的な要素(身なり、表情、ジェスチャー、など)」による意味の伝わる割合:55%
● 「発言者の声のトーンやリズム、強調の仕方など」による意味の伝わる割合:38%
● 「発言の内容」による意味が伝わる割合:7%
つまり、視覚的な要素が半分以上の割合を占め、聴覚的な要素が4割弱、話をしている内容に関しては、1割以下でしか伝わらないというのがメラビアンの法則です。
多くの人が経験したことがあると思いますが、名も知られていない
“どこか”の、”だれか”が、
いかに核心をついた、正論を言おうとも
“インフルエンサー”
の発言する、エビデンスのはっきりしない話の方が、正論に聞こえることはありませんか?
つまり、”何を話すか?”よりも、”誰が話すのか?”の方が、重要度は高いというわけです。
当然すべてがそうだという話ではありません。
3割~4割の確率で、話す際の声のトーンや、声色、内容にフォーカスされますが
“その人の見た目”を超える割合になるのはなかなか難しいと言えるわけです。
つまり
何かを伝えたい際に、最も意識しなければならないのが
非言語的な要素である、ノンバーバルコミュニケーションだと言えるわけです。
新人、若手の皆様が具体的にどうしたらいいのか?は明白です。
体にフィットしたスーツを着て
ヒゲはしっかりと剃り(理想は脱毛)
髪の毛は月に1回は美容室で整え、毎日ワックスでビシッ!と決め
自信満々に喋ってください!ということです。
※メラビアンの法則は、全てのコミュニケーションに当てはまるわけではありません。例えば、業界用語や専門用語など、特定の文脈や状況下でのコミュニケーションでは、言葉の意味が重要な役割を果たすこともあります。
また、メラビアンの法則は、言葉、声、非言語的な要素をそれぞれ独立して評価するものではありません。これらの要素は相互に作用しあい、総合的なコミュニケーションの効果を生み出すことがあります。
具体的なノンバーバルコミュニケーションの種類
ノンバーバルコミュニケーションにはいくつかの項目に分けて理解することが重要です。
以下の内容を意識し、それぞれの項目で高いパフォーマンスを発揮できるよう意識しましょう。
表情
表情こそ、最重要項目です。
表情の暗い人の話は、まったく聞く気が起きません。
どことなく、どんよりとした空気を感じ、内容が全く入ってこないのではないでしょうか。
また、ヒゲで不潔や、歯が汚いなど、清潔感に欠ける見た目の際には、何も伝わりません。
相手に不快感を伝えて終了です。
つまり、清潔な表情で、笑顔で対応です。相手に何かを伝える際には、これに尽きます。
姿勢
自分の姿勢は、自信の程度や、相手への関心を示すことができます。
猫背の方は注意が必要です。また、商談の席で足を組んだりなどは絶対にしてはいけません。
無礼極まりないと相手に不快感を与えて終了です。
背筋をピンとし、胸を張りましょう。(必要以上に大胸筋をアピールする必要はありません)
ジェスチャー
ジェスチャーは、自分の言葉を補完することができます
ロボットのように、微動だにせずに喋るのは不気味です。
身振り手振りは、良いアクセントに繋がることもありますし
数をカウントする際には、指を折るのも良い手段です。
また、相手の話に頷くのもジェスチャーの1つであり、とても重要なアクションです。
自分が相手の話を理解していることのアピールにも繋がり、とても印象が良くなります。
視線
意外に重要なのが視線です。
視線は、相手との接触を示すだけでなく、自分の感情や態度を伝えることもできます。
例えば、相手と目を合わせることで、自分が相手に真剣に向き合っていることを示すことができます。
逆に、視線をキョロキョロとさせてしまうと、重要な商談であればあるほどに失敗に終わるでしょう。
落ち着きのなさ、挙動不審感は、言うまでもなく相手に不信感を与えます。
声のトーン
声のトーンは、自分の態度や感情を相手に伝えることができます。
たとえば、穏やかなトーンで話すことで、相手に安心感や信頼感を与えることができます。
落ち着いているのか
感情的になっているのか
情熱的に伝えたいのか
声のトーンで伝わり方が違ってきます。
身体的距離
自分と相手との間にどの程度の距離をとるかは、自分の態度や関心の程度を示すことができます。
たとえば、相手に近づくことで、自分が相手に興味を持っていることを示すことができます。
逆に近づきすぎるのにも注意しましょう。
相手との関係性ができあがっていない状態で、身体的な距離を詰めることはリスクです。
場合によっては不快感を与えますので、むやみに距離を縮めることが良いわけではありません。
これらの要素を上手に使い、自分の意図や感情を相手に伝えることができるようになると、ビジネス上でのコミュニケーションがよりスムーズに進むようになるでしょう。
ノンバーバルコミュニケーションを上手に使えるメリットとは
ビジネス上でノンバーバルコミュニケーションを上手に使えるメリットには以下のようなものがあります。
以下の項目から、どんなメリットがあるのかを認識し、レベルアップへ繋げましょう。
クレディビリティーの向上
クレディビリティーとは、信頼などを意味します。
自信を持って話す、適切なジェスチャーを使うなど、ノンバーバルコミュニケーションの上手な使用は、話し手の信頼性や説得力を高めることができます。
聞き手側は常に
「この人の話を信用していいのか?」
「この人の話は本当なのか?」
と、疑心暗鬼になっているものです。
ビジネスシーンでは、毎度、明確なエビデンスが証明できないこともあるでしょう。
そういった際に、説得力を高めてくれる効果があります。
意思疎通の改善
ノンバーバルコミュニケーションは、言葉だけでは伝えられない情報を補完する役割を果たします。
例えば、相手の表情や視線から、相手の反応や感情を推測することができます。
これにより、意思疎通の障害を回避し、円滑なコミュニケーションを促進することができます。
商談やコミュニケーションの場で、相手にストレスを感じさせないやり取りは、商談の成功への重要な要素となります。
パーソナルスキルの向上
ノンバーバルコミュニケーションの上手な使用は、根本的な自己表現能力や対人関係能力を向上させます。
相手の反応を的確に把握し、自分自身の表現方法を修正することができますので、相手に与える印象を良いものへと繋げることができます。
俗に言う”感じの良いヤツ”とは、まさにこういったパーソナルスキルの高い人を指します。
コミュニケーション効率の向上
ノンバーバルコミュニケーションは、言葉のやりとりに比べて迅速な情報交換が可能です。
例えば、会議やプレゼンテーションで、賛否両論が分かれる話題に対して、参加者の反応を観察することで、状況に応じた対応を取ることができます。
会議だけに限らず、1対1の商談や面談、面接の場でも非常に有効です。
効率が良いことは、相手に不要な確認をさせないことにもなりますし、お互いにとっての理解を深める働きも期待できます。
つまり、コミュニケーションにかかるストレスが無くなり、理想の結果が出やすいです。
ノンバーバルコミュニケーション力を向上させる方法
それでは、そのスキルをいかに伸ばしていくのか?について解説していきたいと思います。
ボディランゲージを意識する
自分の身体の仕草やポーズを意識して、相手に与える印象をチェックしましょう。
例えば、背筋を伸ばして、しっかりと目を合わせることで、自信や信頼性をアピールすることができます。
歩き方1つを取っても、背筋が伸びているのかそうでないのかだけで、相手に与える印象がガラリと変わりますので、意識して取り組むと良いでしょう。
お辞儀や会釈、頷きもボディラインゲージです。(マナーでもあります)
姿勢を整える
姿勢が悪いと、相手に自信や信頼性を感じさせません。
デスクワークが多い場合は、背中や首のストレッチを取り入れて、姿勢を整えるように心がけましょう。
例え、電話のみでのコミュニケーション(聴覚だけの情報交換)だったとしても、姿勢を整えて喋る際と、そうでない場合とでは、声の張りも変わってきます。
新人や若手は特に、鳴った電話に出たり、積極的に電話でアポイントを取るアウトバンドコールなどをやりますので、姿勢を意識して取り組んでみてください。
必ず結果に良い影響を与えます。
相手の反応を観察する
自分自身の表現を意識するだけでは勿体ないです。
相手の表情やポーズ、声のトーンやリズムを観察し、相手の感情や意図を読み取ることにも注力しましょう。
自分が相手の立場に立って考え、相手の視点や感情を尊重する姿勢が、相手との信頼関係を築く上で重要です。
ジェスチャーや表情を活用する
ボディランゲージと似ています。
手の動きや表情を活用することで、相手にアピールすることができます。
特に表情は意識してみると良いでしょう。
例えば、価格の説明の際や、デメリットとなるようなポイントの説明の際は、多くの若手が顔が引きつったりしがちです。
心理的にストレスを感じるシチュエーションだからでしょうが、そこは気持ちを強く持ち、真剣な面持ちで話をしてみると良いかもしれません。
談笑の際には落ち着いた雰囲気で笑うなど、シチュエーションごとの表情をつくることがとても重要です。
ただし、過剰なジェスチャーや表情は逆効果になることもあるため、適度な使い方を心がけましょう。
練習する
そして最後に練習することを忘れてはいけません。
若手や新人のビジネスパーソンであれば、必ずロールプレイングをやるでしょう。
そこで、何度も何度も意識して取り組むことで、本番の緊張感が薄れ、良いノンバーバルコミュニケーションが取れるようになります。
これらの方法を実践することで、自分自身のノンバーバルコミュニケーション能力を向上させることができます。
ただし、自分のコミュニケーションスタイルに合った方法を見つけ、継続的に練習することが重要です。
ノンバーバルコミュニケーションが上手な人5選!
相手に興味を示す
相手の話に興味を持ち、相手を大切に思っているという姿勢が伝わってきます。
例えば、相手の話を聞くときには、相手の目を見て、相づちを打ったり、頷いたりするなど、積極的に反応を示します。
まずは相手に興味を持ちましょう。何事もそこからがスタートです。
また、嫌いな相手からは概ね嫌われます。
逆も然りで、好かれたいなら、まずは相手を好きになりましょう。
身だしなみや姿勢に気を配る
自分自身の身だしなみや姿勢に気を配り、相手に清潔感や信頼性をアピールすることができます。
例えば、清潔な服装や整った髪型、良い姿勢を保つことで、相手に好印象を与えることができます。
メラビアンの法則を使ったビジネススキルの話でも、ここを特に重視して説明されます。
まずは見た目から!
人は概ね、外見で判断されます。
適度なジェスチャーや表情を使う
適度なジェスチャーや表情を使うことで、相手に自信や共感をアピールすることができます。
例えば、笑顔や眉間のシワを寄せるなど、相手の感情に合わせた表情を使うことで、相手とのコミュニケーションを深めることができます。
地蔵モードになった相手に興味を持つ人はいません。
言葉遣いやトーンに気を配る
言葉遣いやトーンに気を配ることで、相手に丁寧さや尊重をアピールすることができます。
例えば、敬語や丁寧語を使ったり、トーンを穏やかにしたりすることで、相手に好印象を与えることができます。
見た目が完璧にできたら、次のステップとしてコレを押さえるだけで、相当デキるビジネスパーソンになれます。
相手の反応を観察し、適切に対応する
相手の反応を観察し、適切に対応することができると、相手とのコミュニケーションをスムーズに進めることができます。
例えば、相手が話をしている最中に相づちを打ったり、質問をしたりすることで、相手の話を促進することができます。
また、相手の反応を観察できることは、それだけの余裕があることも意味します。
その余裕があれば、押すのか引くのかの駆け引きもできます。
特にビジネスシーンでのけ引きは非常に重要なファクターです。
チャンスで押せて、分が悪ければ引いて次に活かすのが、優秀なビジネスパーソンです。
ノンバーバルコミュニケーションが下手な人の特徴
以下は最悪なビジネスパーソンです。
自分と重なる部分があれば、即座に日々のコミュニケーションの取り方を見直しましょう。
誤解を招く
ノンバーバルコミュニケーションが下手な人は、相手に誤解を招くことがあります。
例えば、話を聞く素振りがなかったり、目線が合わなかったりすると、相手からは興味や関心がないと思われてしまい、誤解を招くことがあります。
誤解が頻発すると、次第に相手の商談リストからは抹消されビジネスチャンスを失います。
それは社内でも同じことです。
不信感を抱かれる
ノンバーバルコミュニケーションが下手な人は、相手から不信感を抱かれることがあります。
例えば、不適切なジェスチャーや表情を使ったり、トーンが不適切だったりすると、相手から不快感や嫌悪感を抱かれ、信頼関係を築くことができません。
つまり、間違いなく失注しますし、社内では信頼を失います。
コミュニケーションがスムーズに進まない
つまり、まとめるならば、コミュニケーションによる意思疎通が進みません。
例えば、相手の反応を見ずに自分の話ばかりしたり、適切なジェスチャーや表情を使わなかったりすると、相手とのコミュニケーションが上手くいかなくなります。
スムーズに進まないことで相手にストレスを与え、結果は言わずもがな、といった具合に着地します。
プレッシャーに弱い
ノンバーバルコミュニケーションが下手な人は、プレッシャーに弱いことがあります。
例えば、面接やプレゼンテーションなどで自分自身のアピールをする場面で、ノンバーバルコミュニケーションが下手だと、緊張してしまい、自分自身をアピールすることができなくなることがあります。
結果は当然、まったく期待できない結果となります。
以上のように、ビジネス上でのノンバーバルコミュニケーションが下手な人は、誤解を招いたり、不信感を抱かれたり、コミュニケーションがスムーズに進まなかったり、プレッシャーに弱かったりするリスクがあることがあります。
そうならないよう、向上のための努力を惜しまず取り組んでみてください。
ノンバーバルコミュニケーション編は以上となります。
本記事の内容を日々の業務に取り入れ、少しでもコミュニケーションスキルを向上させるための材料にしていただければ幸いです。